英語話者とコミュニケーションを成功させる2つの秘訣
みなさんこんにちは、Yuki. Aです。
今回は、前回に続き異文化コミュニケーションの話題!
「日本人が英語話者とのコミュニケーションを成功させる秘訣」について考えてみたいと思います。
グローバル化した現代社会において、英語話者とのコミュニケーション力は必須。「英語圏の人々と対等に渡り合いたい…!」と考えて、英語を熱心に勉強している方も多いのではないでしょうか?
しかし、言語を勉強するだけでは危険です。なぜなら、言語が完ペキでも、コミュニケーション自体がうまくいかない可能性があるからです。
つまり、言語という枠組みを超えて、コミュニケーションのポイントを把握しておく必要があります。
ここでは、文献を挙げつつ、私たちが英語話者とコミュニケーションを取る際に気を付けたい2つのポイントを紹介したいと思います。言語もできて、その上コミュニケーションのコツもつかめれば、最強だと思いますよ☆
英語話者とのコミュニケーションを成功させるために①:「起承転結」は忘れよ!
日本語でよく使われる文章の型に「起承転結」がありますよね。
Hinds (1983)では、このような日本式の文章の書き方が、日本語話者と英語話者それぞれにどのように評価されるかが調査されました。調査の概要をまとめたものが以下です。
- 資料として、朝日新聞の「天声人語」が使用された
- 調査者側が3つの記事をランダムに選んだ
- 記事は①Vanishing “Toki”、②White Gloves、③Quiet and Noiseの3つ(日本語の原題は載ってなくてわかりませんでした)
- 日本人には日本語版の天声人語を、英語話者には英語版の天声人語を読んでもらう
- 決められた観点についての善し悪しを5段階評価で採点してもらう
- 英語版の天声人語は、日本語版と話の展開の順番(起承転結)は一緒
日本人にはおなじみ、「天声人語」は「起承転結」型の文章になっているため調査に適していたようです。そして「天声人語」は英語版も発行されているそう。驚きです!
評価の観点には
- Unity(論理的で、考え方に流れがあるか)
- Focus(あっちこっちいくことなく、その話題について話しているか)
- Coherence(一貫性があるか)
が含まれています。結果は以下のようになりました。
(※数値は 低評価 ← 1 2 3 4 5 → 高評価、とする調査者による5段階評価の平均値)
英語版 | 日本語版 | |
Unity | 2.3 | 4.2 |
Focus | 2.1 | 4.2 |
Coherence | 2.4 | 3.9 |
英語版 | 日本語版 | |
Unity | 2.1 | 3.9 |
Focus | 2.0 | 4.2 |
Coherence | 2.0 | 3.9 |
英語版 | 日本語版 | |
Unity | 1.9 | 3.2 |
Focus | 1.9 | 3.2 |
Coherence | 1.8 | 3.4 |
見方が少々難しいかもしれませんが、どの記事・観点についても日本語版の数値が高いことに気づいたでしょうか?
…この結果からわかることは、日本人は「起承転結」型の文章を評価する傾向にあるが、逆に英語話者は低評価をつける傾向にある、ということです。
つまり、普段私たち日本人が使用する「起承転結」型で英語の文章を書いてしまったり、話をすると、英語話者への受けが悪くなる可能性があるということです…!
そして英語話者的には、「転」が特によくわからないそうです。…たしかに、「転」では「起」「承」でしてきた話を転換する場面ですから、なんか話ずれてない?ってなる気持ちには共感(^^;(日本人の私でもたまに混乱するし)
英語話者とのコミュニケーションを成功させるために②:「理由→提案」は△
もう一つ、このトピックに関連する研究の話をしてみたいと思います。
Young (1980)では、ミーティングにおける中国人の話の展開の仕方の特徴について述べられています。ミーティング形式の実験における中国人の話の展開の仕方は、欧米人とは違って
~という背景があり、~だから、~という提案をします。
というように、「理由→提案」の流れで行われていました。これは日本人の話の展開の仕方と似ていますよね。
しかし、このような形式は英語話者を混乱させることになります。なぜなら、英語話者はこのような話の形式に慣れておらず、大量の情報(=理由の部分)にのみこまれてメインポイント(=提案内容)が何なのか見失ってしまうからです。
英語話者にとっては、はじめにトピックについての明確な主張を行うことでその対話がよりはっきり、ドラマチックに、そして雄弁なものになると感じられます。
だから、ここでの中国人のような話し方をしてしまうと、「内容がイマイチわかっていない人」、さらには本当は英語の能力があるにもかかわらず「英語が通じない人」、というようなレッテルを貼られることにつながる可能性があるのです。
この実験では、中国人の話し方にフォーカスされていましたが、日本人も同じく「理由→提案」型の話し方をしていると思います。ですから、上の事例を他人事と思わず、私たちも英語話者と話すときには、英語話者に伝わりやすく好まれる形式で話すことを心がけたいですね。
まとめ
英語話者とのコミュニケーションを成功させるために大事な2つのポイントは…
- 「起承転結」型は英語話者に受けが悪いので避ける
- 「理由→提案」の順でなく、はじめに明確に自分の主張を行う
といえると思います。コミュニケーションツールである英語も学びつつ、コミュニケーションのコツも抑えて、英語話者とのコミュニケーションを成功させられる人材を目指しましょう!(^^)!
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