異文化間ミスコミュニケーションを防ぐために

みなさんこんにちは、Yuki. Aです!今日は少しカッチリめのおはなし。

今回は、外国人の方や異文化を持つ方とかかわる際に、ミスコミュニケーションを防ぐにはどうすべきか、について例を挙げつつ考えてみたいと思います。

アメリカ人とドイツ人の異文化ミスコミュニケーション

まず、下のストーリーを読んでみてください。

あるアメリカ人の大学生が留学プログラムをスタートするためにドイツに到着した。彼は現在の出来事や国際情勢への深い知識を持っていて、留学という冒険を楽しみにしていた。しかし彼がドイツの大学生と交流し始めると、事態はおかしくなりはじめた。ドイツ人の学生は、相手がアメリカ人の学生だとわかると、アメリカの外交政策への辛辣なコメントや宗教についての情熱的な意見を述べ始めた。アメリカ人の学生にとっては、よく知らない人と宗教について話すなんてもってのほかであった。そして、ドイツ人学生によるアメリカについての攻撃的な意見と交戦的な態度に気分を害した。もし彼が言い返そうとしようなら、ドイツ人の学生は彼の話をさえぎって言い負かそうとする。アメリカ人の学生はこのような会話から遠ざかった。そして、「ドイツ人の学生は頑固で、傲慢で、失礼だ」と考えるようになっていった。一方ドイツ人の学生は生き生きとした意見交流の試みが失敗したことに対しいらだちを覚えていた。そして、「アメリカ人の学生は無知で、冷淡で、面白くない」と考えるようになっていった。

Tannen(2006)より筆者訳

簡単にまとめると、アメリカ人学生にとってはよく知らない間柄であるドイツ人学生と、政治や宗教などの踏み込んだ話を議論することは受け入れがたいことであったが、逆にドイツ人学生にとってそれは積極的な交流を望んでいるというポジティブな意思表示だったわけです。

この話を読んで、どのように感じましたか?

私は、はじめはアメリカ人学生と同感で、ドイツ人学生は失礼だと思ってしまいました。しかし、ドイツ人学生の行動は相手ともっと積極的に交流したいがための行動で、それはドイツ人にとっては普通なことだったわけです。これを読んで、「親交が深くない相手には深入りしてはいけない」という、いわば日本的な考え方に、自分がいかにとらわれているかが明らかになってしまったような気がします。

さて、アメリカ人の大学生とドイツ人の大学生、どちらも言語的な意思疎通はできているはずですが、ここまですれ違うことになってしまったのはなぜでしょうか?

その要因の一つに、「フレームの違い」ということがあります。解釈の枠組みの違いといえるでしょう。

例えば、上の話であれば、特段仲良くもないドイツ人学生が政治や宗教の話をアグレッシブにしてきたことに対するアメリカ人学生のフレームが反映されたものが「ドイツ人の学生は頑固で、傲慢で、失礼だ」という思考。アメリカ人学生には「アグレッシブな議論は活発な交流を望んでいる印」というフレームがなかったということです。

もちろん、全く同じように言語使用を行う人というのはいないわけで、個人によってフレームの差異があるのは当たり前です。しかしフレームの違いは、地域、民族、性別、社会階級、職業によってより差がでてきます。

このような「文化的な」影響がことば、表現、イントネーション、などのスピーカーの言語的な要素に影響を及ぼします。

つまり、言語と文化が分けがたいもので、それぞれに影響をもたらしあっているということがわかります。だから、言語を学ぶのみならず、文化、そしてそこから生まれるフレームの違いを理解しなければ、上のようなミスコミュニケーションが起こりやすくなってしまうのです。

言語は理解できても、話は成り立たない可能性がある…なんかおもしろいし不思議ですよね(笑)

あいさつの異文化ミスコミュニケーション

先ほど述べたように、言語を理解しているだけでは上手くコミュニケーションが取れない場合があります。身近な例でいえば、「あいさつ」でそのようなミスコミュニケーションが起きやすいのではないでしょうか。

例えば韓国人は、あいさつとして「ご飯食べた?(밥 먹었어?)」とよく言います。だから、食事をしたか否かはそれほど重要ではなく、あくまで「あいさつ」としてとらえる必要があります。ですから、「ご飯食べた?」とたずねられて「食べました!○○と○○を食べました!」と答えるとビミョーな空気に…なっちゃうかも?

つまり、ことばのそのまま意味として解釈すると、ミスコミュニケーションを起こす場合もあるということです。

他にも例を挙げて考えてみましょう。英語では「What’s up?」というくだけた挨拶の表現がありますが、これをはじめて聞いた人は混乱してしまうのではないでしょうか。なぜなら「What」は「何」、「up」は「上に」という意味があるため、単純に考えると「何が上にあるの?って意味なのかな…」と思いがちだからです。

実際に、筆者の知り合いにも英語圏で生活し始めたときに「What’s up?」の意味が分からず、返答に困ったという話を聞いたことがあります。

そして、もし「What’s up?」が「最近どう?」とか「やあ」という意味を持つと知っていたとしても、「あ、最近?こんなことがあって、あんなことがあって…」という風に返してしまうと非常に不自然に思われてしまうのです。

なぜなら、「What’s up?」はただの挨拶の表現であり、相手は具体的な話を聞きたいと思っているわけではないからです。だから答え方は「nothing(変わりないよ)」のようにシンプルなものになるのが自然です。

このような表現というのは、実際に体験したり、アンテナを張って情報収集しておかなければわからないものだと思います。なので、異文化理解のためには、積極的に異文化について知る姿勢をとり、違いに対してオープンなマインドを持っておくことが非常に重要だと感じます。

まとめ

異文化間でのミスコミュニケーションを防ぐためには、

  • その文化圏のフレームを理解すること
  • ことばがもつ本来の意味だけで理解しようとしないこと
  • その文化独特の表現について情報収集し、アンテナを張っておくこと

が大事であるといえるのではないでしょうか。

グローバル化が進んで、異文化コミュニケーションが増えた現代。上のようなポイントを心がけて、少しでも異文化間のミスコミュニケーションが減らせるといいなと感じます。

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