韓国と北朝鮮における言語のちがい②
みなさん、こんにちは。Yukiです。
今回は前回の続きで、「韓国と北朝鮮における言語のちがい」パート2です!
2.韓国と北朝鮮における言語のちがい
前回は、韓国と北朝鮮の言語のちがいの中でも「標準語」に焦点を当ててみていきました。
今回は少し視点を変えて「語彙」という点から、両国のことばのちがいについてみていきたいと思います。
②韓国と北朝鮮の「語彙」のちがい
前回の記事で紹介した著書『韓国語教育論講座 第一巻』の一節、「韓国と北朝鮮の言語差」では、両国で生じた語彙のちがいについても述べられており、以下の4点が理由として挙げられています。
- 互いに異なる地域語を中心に規範語を定めていること
- つづり・標準語・外来語などについての規範が異なること
- 体制の異なりによる影響
- 北朝鮮における「国語醇化」・語彙整理(方言を多く文化語に格上げすること)
その中でも、筆者としては「体制の違い」、つまり資本主義か社会主義かというちがい、
そしてそれに影響を受けた「国語醇化」が特に語彙の差異をつくる原因になったのではないかなぁ、と思いました。
「国語醇化(말다듬기)」は、外来語や漢語を易しい固有語に変えて標準語にすることを指します。
北朝鮮では1949年から国語醇化が行われたようです。
そして意外なことに、実は韓国でも1970年代から国語醇化が行われました。
しかし、韓国は資本主義国家であり、技術の発展や外国との交流が盛んであったため、外来語をそのままの形で使うことも多いようです。
それでは、「キャラメル」が国語醇化された例をみてみましょう。
北朝鮮において「キャラメル」という言葉は、『기름사탕(キルムサタン)』と定義されました。
기름は油・オイルを表し、사탕はあめの意味です。つまり『油あめ』です。
一方、韓国では「キャラメル」として、外来語の形のまま存在しています。(캐러멜、読みは「ケロメㇽ」に近い)
他にも、外来語「ドーナツ」について、
北朝鮮:「가락지빵(指輪パン)」
韓国:「도넛(ドーナツ)」
といった例や、それ以外にも多くあるようです。
北朝鮮が早くから積極的に国語醇化を行ったのは、
北朝鮮が外の文化に対して閉鎖的で、「自国の主義を貫く」という意思の表れといえるのではないでしょうか。
また、北朝鮮には、韓国には存在しないような社会主義的理念や物事を示す語彙が多くみられます。例えば、
・家庭革命化(가정혁명화)
→全ての家族を党と首領に対して忠実であるように教育して、家庭が革命家集団になるように教育すること
・動揺分子(덩요분자)
→思想や立場が徹底的でなくて動揺する人
などがあげられます。
逆に韓国においては、
「동무(親友)」→「친구(親旧)」
のように、昔は「동무(トンム)」を「友人」という意味のことばとして日常的に使っていたのに、南北分断後に北朝鮮が社会主義的な意味を持つ言葉として使用しはじめたため、「친구(チング)」という漢語を使うようになったという例もあります。
3.まとめ
韓国と北朝鮮のことばのちがい、どうでしたか!?
使用している文字は同じでも、体制の違いや人為的な言語の整備によって、ことばに違いが出てきたのがおもしろいですね。
また機会があれば、もっと掘り下げて調べてみようと思います(^^)
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